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金魚

Category : 写真deリレー
みなさんこんにちは。この無茶ぶりリレーブログも今回で最終回です。
担当は原田です。最近の主食はリップクリームです。どんどん減ります。身も心もカサつく季節ですね。
ということで、せめてこの拙文で潤ってくださればとおもいます。
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金魚

私は金魚。もう何年も、ここで飼われている。
最初にこの場所へやってきた日のことは、もう忘れた。
それくらい長い間、私はここにいる。ひとりで。ほかに金魚の仲間はいない。
同じ場所。同じ鉢。同じ景色。
正直、飽きた。

私が置かれているのは、長いカウンターの隅。その下はガラス製のディスプレイになっていて
人間が、開けたり閉めたり、覗きこんだりしている。

ここは和菓子屋。

どこにでもある地方都市の、駅前から少し離れた、老舗だかなんだかわからないような、和菓子屋。
私の下に並べられた十数種類の菓子たちは、近所の中高年の方々のお茶うけや、ちょっとした贈答品になる。
お客はまあ、そこそこ入る。常連もいる。店員のほうも、それなりに張り合いがあるようだ。

店内にいるお客に試食を差し出す。お茶を淹れる。
そこそこ行き届いた接客。そこそこ小奇麗な店内。
の、飾りとしての、私。

それゆえ、私は特にお客から可愛がられているわけでは無いだろうし
ましてやこの店のマスコット的な位置付けなどには全くされていない。

犬なり猫なりに生まれていれば、そんな地位も築けただろうが
まあいい。なんの変哲もないこの和菓子屋でちやほやされても仕様がない。たかが知れている。

もう秋か。
店では季節ごとに新作の菓子を作っていて
季節の変わり目に、品物も入れ替わる。
明日から、秋の新作を売り始めるらしい。
今日で夏の菓子とはおさらばだ。

夏から秋への変わりめを見る私の心持は、他の季節に比べ特別なものがある。
それは我ながら感傷的で、滑稽だとさえ思う。


今年も、金魚が消える。



薄い青色の澄んだ寒天の中に、真っ赤な金魚が数匹泳いでいる和菓子。
夏にしか並ばないその菓子に、私はどこかで愛着を感じていたのだ。

もちろん、店の親方がこの菓子を作った理由の一片にでも、私の存在があるとは思えない。
夏の和菓子に金魚。定番だ。

潔く、今日でお別れ、さようなら。
けれどせめて、閉店まではどっぷり感傷に浸っていよう。



日も暮れ、そろそろ閉店という時間になって
常連の爺さんがやってきた。
明日からの秋の新作、楽しみにしていてくださいね、なんて、パートの店員が話しかけはじめる。

すると爺さん

「ということは、今日で金魚も終わりかね。」

そうだよ。終わりだよ。

「一年中こんな涼しげなもの出してたら、お爺さん凍えちゃうわよ。ほほほ」

くだらない。本当に下世話だ。


「…お宅のお店には、折角立派な金魚がいるでしょう。菓子が夏だけではさみしかろうと、いつも思っていたのだよ、のぅ。」

爺さんが、私に目を遣ってそう言った。


「そう言われてみれば、この金魚は一年中いるわね。いなくなったら、ちょっとさみしい気もするし。お爺さん、お優しいのね」


奥の工場で明日の新作の準備をしながら、親方は、その会話を聞いていたらしい。


次の日、店のディスプレイの中には、
紅葉の添えられた金魚の菓子が並んだ。
冬には金魚の上に雪が降り、春には桜が舞うだろう。


それからの私が、ここでの生活を退屈だと思うことは、二度と無くなった。

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こんな感じで、いかがでしたでしょうか…
リレーブログはおしまいです!

と、ここでお知らせが。
来週末、11月1日~3日は和泉校舎で明大祭があります。私たち宮本大人ゼミナールも、外ではラピュタパンを売り、中ではマンガ喫茶を開きと
サブカル全開でお待ちしていますので
ぜひお越しください。

そんなこんなで明大祭準備があるため、ブログ更新はお休みさせていただき、明大祭後に、お祭り振り返りレポートを連載します!

ではでは、ハッピーハロウィーン。
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